農作業のない冬場は、野菜スープ製造の合間をみて、菊芋の加工品作りをしています。
本日は菊芋加工品「菊芋ペースト」の製造の様子をご紹介致します。
「菊芋ペースト」は、1年中菊芋を食べたいというお客様の声から誕生した商品です。当園では晩秋に収穫される菊芋ですが、菊芋は一般的に貯蔵性が悪く冷蔵庫に保管していても春先まで持ちません。当園では早春に雪の下から菊芋を掘り起こす「雪の下菊芋」もありますが、通年で生菊芋を販売しているところはありません。
お漬物にしたり、乾燥チップス、粉末に加工して保存食にする方も多いのですが、菊芋の風味、栄養分を損なわずに1年中手軽に菊芋を食べれるよう商品開発されたのが「菊芋ペースト」でした。
冷凍食品ですので解凍するだけでヨーグルトにかけたり、お味噌汁に入れたり、スムージーの材料に利用したりと簡単便利に使えます。
また、ヨーロッパでは菊芋を使ったスープも定番料理らしく、某有名ホテルで採用され業務用にも出荷しています。
菊芋をペースト状にして袋詰めするといった至ってシンプルな一次加工品みたいな商品ですが、いろいろと手間がかかり、栄養損失がないように工夫された商品なんです。
まずは菊芋の綺麗に洗浄し、微酸性電解水で表面殺菌し、腐敗や褐変箇所をカットして下処理します。
その後、低温スチーマー調理器で、菊芋を蒸気で優しく包み込みながら、じっくりと蒸してゆきます。
ここで菊芋の芯温を計測しながら、決められた温度、時間でスチーマー処理を行っています。(時間、芯温は企業秘密です)
この「蒸し」時間が最適に行われないと、次工程のペースト処理で菊芋が真っ赤に褐変してしまいます。リンゴの皮を剥いて、しばらく置くと茶色に変色する「アレ」です。菊芋はポリフェノールや酵素の影響で、空気に触れると変色してしまいます。そうならないように温度管理をしっかり行うのです。
蒸し上がり完了。この状態で食べてもすごく美味しいです。菊芋は熱を加えるとまったりとした食感と甘みが強くなりますが、普通に茹でるよりずっと美味しいです。これは低温スチーマー調理器のお蔭かな~と思っています。
普通はブランチングと言って、例えば冷凍野菜にする場合はお湯で茹でますが、その時に栄養が溶けてしまいますが、低温スチーマーはじっくりと低温の蒸気で蒸すため栄養損失がほとんどないそうです。
パットに開けて、蒸した菊芋を急速冷却します。
急速冷却で粗熱をとり、菌の繁殖を抑えます。
急速冷却された菊芋です。
その後、コミトロールプロセッサという、熱が出にくく、素材をマイクロカットする機械で、菊芋を冷えた状態でペースト化。熱が出ずに簡単にペースト化してゆきます。
ペーストした菊芋。
すぐにスパウト袋に充填してゆきます。
その後、室温-25℃の冷凍庫で冷凍保管してゆきます。
本来はもっと細かな作業工程がありますが、大まかな作業工程の説明でした。
生菊芋は生食も可能でシャキシャキした食感です。これは冬季限定として人気がありますが、熱を加える事によって、栄養損失がなく菊芋の風味、甘みが増した「菊芋ペースト」はお勧めです。解凍してヨーグルトにかけるのが一番簡単ですが、特に便秘にお困りの方、血糖値を気にする方には是非、毎日の食事に摂り入れて欲しいと思います。